世界4大テニス大会の1つ、全英オープンテニスが2021年6月28日から始まりました。昨年は、コロナの影響で世界大戦以来の中止になったこともあり、2年ぶりのテニスチャンピオンシップが開かれるので、メディアも注目の大会になっています。
今年は、異例中の異例で大会に参加する選手たちも自由に外に出れるわけでなく、指定されたホテルとテニス会場の往復のみの行動制限があり、ストレスやフラストレーションが増幅する中で、試合をしなければならないと多くのメディアや選手たちのインタビューが聞こえて来ています。実際に大会始まる前日に選手の関係者がコロナ陽性反応と診断されて、当該選手が濃厚接触者と認定されて、10日間の自主隔離が義務づけれて、急遽大会参加を辞退することになってしまった選手もいます。
一般の観戦客もチケットの入手から今年は例年とは異なる方法でゲットすることになりました。
例年の観戦チケットの入手と入場と今年2021年度の観戦チケットの入手と入場の違いについて
例年は、Queueと呼ばれる隣のウィンブルドンパークで前日からキャンプしたり、朝早くから列に並び、芝生の広場に整然と列をつくり、午前7時や8時に番号が振られたQueueカードが配られて、そのカードを持っていないとチケットを購入することが出来ません。一度、Queueカードをもらえば、列から離れて近くのカフェや広場にある屋台で飲食物を買ったり、トイレに行ったりしても列に戻れる仕組みです。(2人以上で行っている場合は、1人は列に残っていた方が良いです。なぜなら列が徐々に動いたりするので、かなりの人や列ができるので、自分のいた列を見失う可能性が高いです。1人で来ている場合は、前後にいる人にトイレ行くのでとか、コーヒー買ってくるので自分がいることを覚えておいてと頼むのもありです。)
午前6時や7時からその列に並ぶとかなり待つ事になりますが、なるべく早く会場に入ることが出来ますので、皆早く並び始めます。しかし例年は一般観戦客の入場開始が11時からなので、11時近くならないと列がなかなか前に進まないので、芝生にシートを引いて座って朝食をとったり、睡眠をとったり、グループで来れば談笑したり、カードゲームしたり、イギリス人の慣れた人たちは、シャンパンを開けて宴を始めます。その後、列が動き始めると、Queueカードのチェックするところ、持ち物検査するところを経て、ようやく会場にあるチケット販売ブースでチケットを購入して、入場することになります。
今年2021年は、例年のQueueを作っての入場が中止というアナウンスが早い段階でなされ、全てのチケットはインターネット販売をするというものでした。事前にWimbledon.comにアクセスして、myWimbledonという自分のアカウントを登録しておくことが勧められて、チケット発売日の2日前までに済ませておくと、登録したメールアドレスにチケット購入に必要なコードが送られて、それを使って購入するというものでした。仮にその時に購入できなくても、購入を見送られたチケットの再販が発売日の翌日にあったり、期間中も48時間前のチケットを午前10時から公式サイトWimbledon.comで発売しています。ですから、今回はオンライン上でチケットの購入の順番待ちのために”並ぶ”ことはありますが、実際のQueueに並ぶことは無くなり、大変異例の大会になりました。
(この時期のロンドンは、天気が良ければよいですが、雨や曇りもあるので、実際に並んでいたら、朝早くは肌寒く、昼近くは日差しが出ると暑かったりして、気温変化に周到な準備が必要です。)
Home – The Championships, Wimbledon 2021 – Official Site by IBM
さらに2021年のウィンブルドン特徴は、紙のチケットを一般観客には発行せず、すべてモバイルチケットという方式を取りました。皆がスマートフォンかタブレット端末を持っているという仮定で、チケットの配布、提示、会場案内などは全てペーパレスで行われています。
決勝戦のセンターコート以外は、例年の入場者の約50%にする方針が取られていて、コロナウイルスの感染予防対策もしっかりとしています。すべての入場者は以下の事柄の1つが求めれられます。
ー14日以上前にワクチン2回目接種したことの証明(なぜ14日以上前かというと、イギリスのNHSのスマートフォンアプリでワクチン証明の表示が出るのが、接種後14日前後と言われているのと、接種してから体に抗体ができるのが、1週間から2週間程度と言われているからだと思います。)
ーLateral Flow Testと呼ばれる自治体やNHSで行われているコロナ検査テストを試合を観戦する48時間以内受けて陰性であることの証明
この2つのうちのどちらかの証明が必要で、NHSという国民健康保険サービスのアプリを使って、証明書のQRコードを表示するように事前に何回もメールでお知らせがきたり、アプリのダウンロード方法やスマートフォン等を持っていない人のために、紙の証明をどうすればリクエストできるのかなど、丁寧な説明や動画などが準備されて、ウィンブルドン観戦客に徹底的に周知しているという事が伺えるものでした。
観戦日当日前までにかなりの数の案内がメールで来ましたが、最終確認のメールではきちんと当日までに用意するもののリストがありました。
ーProof of COVID status(コロナの陰性若しくはワクチンを14日以上前に2回以上接種した証明)
ーYour mobile device and the Wimbledon App downloaded in order to display your ticket
(スマートフォンと入場チケットを表示するためのWimbledon公式アプリのダウンロード)
ーYou will need to have shared your additional ticket with your Guest via the Manage benefits section of your profile on wimbledon.com They will need to have created their own mywimbledon account and have downloaded the wimbledon App.
(もしペアのチケットを2枚買っているなら、それをシェアするために一緒に来る人もWimbledonの公式サイトでアカウントを登録して、さらにその人のスマートフォンにWimbledon Appというアプリを事前にダウンロードをしておく必要があること)
ーA valid photo ID (有効な写真付きの身分証明)
ーA face covering (Unless medically exempt) (口や鼻を覆うもの、自分の健康上マスクをつけなくても良いことになっている人以外)
2021年のウィンブルドンは、こうした多くの指示があり、それに沿って準備する必要がありますが、どれも基本的に簡単な指示なので、特定のアプリを幾つかダウンロードしておけば、簡単に提示することができるので、とても便利だと思いました。事前の案内メールにも出来るならモバイルバッテリーを持ってくるようにという指示もありましたから、電車やバスで移動して、搭乗中にスマートフォンを使用して、それから会場までまたスマートフォンのGPSを使って、会場は入る前にコロナ関連の証明書をスマートフォンで出して、モバイルチケットもスマホを出してとやっていると、かなり電池がなくなるので、実際的な提案だと思いました。
また、会場内は全て現金使用不可で、Contactless決済(Apple PayやGoogle Payなどのスマートフォン決済)かクレジットカード決済のみでした。これも飲食を購入するときなど、多少並びますが、決済が速いので、どんどん列が進み基本的に長く感じることなく、買い物もできたように思えます。
エコを意識して、お酒もビールはグラスで提供して、それを回収したり、ジンなどのお酒は再利用可能なプラスチックのグラスで提供して、回収ポイントにそれを返却するという取り組みを取り入れてましたし、プラスチックを使用を極力減らすためか、有名なWimbledon Strawberry(ウィンブルドン・ストロベリー)も今年は、紙のパックで提供がなされていました。例年はプラスチック容器に入れて提供されるのですが、今年はそうした取り組みを初めて行い、2050年までにかなりの量のゴミなどを減らすことを目標にするとも書いてありました。

チケットの価格
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 | 11日目 | 12日目 | 13日目 | |
センターコート | £70 | £70 | £90 | £90 | £115 | £115 | £140 | £140 | £170 | £170 | £200 | £200 | £240 |
No1 コート | £65 | £65 | £80 | £80 | £105 | £105 | £125 | £125 | £155 | £70 | £45 | £40 | £35 |
No2 コート | £44 | £44 | £53 | £53 | £72 | £72 | £87 | ||||||
No3 コート | £44 | £44 | £53 | £53 | £72 | £72 | £87 | ||||||
コート12 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | ||||||
コート18 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | ||||||
グランドパス | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £27 | £20 | £20 | £20 | £15 | £15 | £15 |
1日目の初日から13日目の決勝戦のチケットの価格表が上記になります。
最終日の決勝のセンターコートのチケットはやはり1番高いです。ちなみに日本円にすると、決勝戦のセンターコートのチケットは37200円/1人(1ポンド155円計算)見ることのできる試合数で言うと、最初の1週目が多くの試合を見ることが出来ます。ウィンブルドンのテニス会場は、18のコートがあり、トーナメント方式なので、1週目は1回戦からシングルス男女、ダブルスの男女とかなりの試合が組まれますので、すべてのコートを使い試合が行われるので、多くの選手や関係者やスタッフ、観戦客がいるので、雰囲気も良く、華やいでいます。
チケットの種類の説明をしますと、センターコートのチケットは、センターコートの試合とグランドコートと呼ばれるNo4からNo18までのコートの試合を観戦することが出来ます。
同じようにNo1コートのチケットは、No1コートとグランドコートの試合を観戦できるものです。
コート12とコート18とグランドパスが同じチケット価格なのは、予約席に座れるかどうかです。
グランドチケットでもコート12やコート18の試合を見ることが出来ますが、予約なしで見れる座席が埋まっている場合は、並んだり、そのエリアから出てくる人を待って席があけば見れるというものです。
同じように以前は、No3コートの予約なしで座れる座席があり、グランドチケットを持っていて、空きがあれば観戦することは可能でした。No2コート以上になると、そうした予約なし席は基本的にはありません。チケットを持っていれば、1日中時間無制限で居ることができますから、試合の雰囲気を存分に味わいたい人は、朝から晩まで会場にいて、楽しむことが出来ます。ちなみに会場内は飲食物の持ち込みは自由なので、お昼ご飯を安く済ませたい人やお酒を持参する人もいます。一応、持ち込みバッグの大きさ制限はありますが、クーラーボックスにお酒などをいれて持ち込んでいるイギリス人もいて、そこまでバッグの大きさに厳しくはありません。それよりも危険物などの検査に重きを置いていることが多いです。以前は、空港にあるようなベルトコンベアーで探知する機械に持ち物や靴を通さないと、会場に入れない事がありました。今年は、持ち物チェックのみで、すばやく会場入りすることが出来ましたが、持ち物を持っていない人は、やはり空港にある金属探知機のゲートをくぐらないといけないようでした。
ちなみに、なぜ準決勝や決勝が行われる最終日近くにグランドチケットが発売されているかというと、Henman Hillと呼ばれるところからNo1コートの側面に大規模なスクリーンが備えられていて、センターコートやNo1コートに入れない人々がそこでライブ観戦するというのが、通例です。芝生になっており、飲み物や食べ物を食べながら、寝転びながら試合を観戦して、センターコートから聞こえてくる会場内の歓声を聞きながら、共に応援している選手を観戦することができます。

2021年は、ウィンブルドン会場内で、レストラン等のテーブルと椅子で食事を注文するサービスは取りやめになり、(コロナ対策で)テイクアウトフードがメインで提供されました。テーブルや椅子の数は限られていましたが、そこは譲り合いのイギリス人の精神で、大きな動乱はなく、食事をしたらすぐにその場を立ち去り、他の人に譲るという平和なものです。紳士のスポーツであるテニスの会場は、サッカーとは異なり、雰囲気もよく、丁寧さ、清潔感のあるイギリス国内屈指の人気イベントです。
たくさんのスポンサーも協賛しているので、アメックスのラウンジがあったり、その他飲食のお店もあるので、まずはグランドチケットで入場して、心地よい雰囲気を味わってみるのはどうでしょうか。

